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FLOW-3D CAST v4
鋳造解析専用ソフトウェア FLOW-3D CAST – 高精度な鋳造シミュレーション
FLOW-3D CASTの特徴
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Fig.1 FLOW-3D CAST のユーザーインターフェイス
<FLOW-3D CAST は汎用3次元熱流体解析ソフトウェアFLOW-3Dを解析ソルバに用い、煩雑になりやすい解析条件の設定を容易にする優れたユーザーインターフェイス(Fig.1)を備える鋳造解析専用ソフトウェアです。
FLOW-3D が備える豊富な物理モデルにより凝固収縮巣、湯回り不良、空気巻き込み量などの鋳造欠陥をはじめ鋳型温度分布、鋳型溶損、熱応力変形などを予測することが出来ます。中子の造型シミュレーションや中子ガス欠陥の予測も可能です。また、溶湯や鋳型の材料データベースを標準で備えています。
解析ソルバであるFLOW-3D は自由表面を持つ流体流動を精度良く扱うことに優れており、インクジェット、コーティング、タンクスロッシング、水理・環境工学など幅広い分野でワールドワイドに使用されています。
湯流れシミュレーションのように流動する流体表面の形状を追跡する手法としてVOF法(Volume of Fluid)[1]が良く用いられます。湯流れパターンの予測精度はVOF法の信頼性に大きく依存し、高圧ダイカストのように高速で乱れが大きく複雑な湯面形状を伴う場合には特に重要となります。
高精度な自由表面追跡手法(TruVOF法)
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Table.1 移動後の円形液滴形状
VOF法とは固定された計算メッシュを用い、各計算セルにおける流体の占有率を示す流体率の変化から自由表面を追跡する手法です。直交メッシュでは自由表面が座標方向に対し角度を持って移動する際、数値拡散が大きくなる特性があります。特に斜め45°方向への移動において顕著に現れます。
Table.1の上段は2次元平面上を円形液滴が座標方向に対し角度を持って移動する際の液滴形状の変化を示しています。座標方向への移動(0°)では円形を保ちますが、45°方向では大きく歪んでいます。Table.1の下段は FLOW-3D CAST が備えるTruVOF®法の結果です。液滴形状はその移動方向に依存せず円形を保持していることが分かります。
TruVOF®法はVOF法のメッシュ依存性という本質的な問題を解決するため、アルゴリズムを根本から見直した手法です。そのコンセプトは流体率の移流を座標方向ごとに考えるのではなく、3次元的に移動していく流塊として取り扱うことにあります。これにより表面の数値拡散を抑制し、自由表面形状を精度良く捕えることが可能になります。
メッシング技術
FAVORTM法
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Fig2. FAVOR
直交メッシュはそのままでは物体表面が階段状になり計算精度を悪化させます。これを防ぐため FLOW-3D CAST ではFAVORTM法と呼ばれる独自の物体形状表現手法を採用しています。
FAVORTM法はFractional Area/Volume Obstacle Representationの略称であり、開口面積率Afと開口体積率Vfと呼ばれる関数を導入し、複雑な物体形状を忠実に再現する手法です(Fig.2)。物体表面を含む計算セルは物体によりその体積及び側面の一部が閉じられています。Afはセル側面がどれだけ開口しているかの割合、Vfはセル体積がどれだけ開口しているかの割合を示し0から1の値を持ちます。例えば物体に完全に含まれるセルではVf=0、Af=0となります。FLOW-3D CASTではAfとVfを反映させた支配方程式を用いることで、複雑な物体形状を考慮した高精度な解析を可能にしております。
FAVORTM法の利点はメッシュ生成が容易なことだけではありません。例えばダイカストにおけるプランジャーや溶湯を注ぐラドルのような移動物体を表現する手法としても優れています。物体の移動に合わせて各セルが持つAf、Vfの値を時間変化させることで容易に対応することが出来ます。
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Fig.3 ダイカスト製品に対する流動パターンの比較 (左:シミュレーション、右:実機)
キャビティ適合メッシュ
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Fig.4 キャビティ適合メッシュの概念図(上)と適用例(下)
FLOW-3D CASTでは直交メッシュでありながら部分的にメッシュを細かくする“キャビティ適合メッシュ”と呼ぶメッシング技法を採用することで、高精度・高効率な大型薄肉鋳物のシミュレーションを可能にしています。
キャビティ適合メッシュのコンセプトは鋳型には粗いメッシュ、キャビティ内には細かいメッシュを用いることです。Fig.4はその概要図と薄肉のプレート状鋳物に適用した例を示しています。細かいメッシュと粗いメッシュは独立しており、メッシュの粗密やセルサイズは個々に与えることが出来ます。細かいメッシュは粗いメッシュと鋳型内でオーバーラップし、データ交換はその境界で行われます。交換されるデータは伝熱に関するものとなり、セルサイズ比を1:3など比較的大きく設定しても解析精度への影響は大きくありません。ユーザーはメッシュ間のオーバーラップ距離を指定することも出来ます。
ユーザーは両メッシュの設定を行う必要がありますが、鋳型とキャビティのメッシュを個別に設定できるようになることから、形状精度とセル数合計のバランスを考慮してメッシュの粗密を調整する労力の削減効果も期待されます。
並列計算への対応
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Fig.5 共有メモリ型並列計算による高速化の効果
多機能なポストプロセッサー FLOW SIGHT
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Fig.6 FLOW SIGHTによる可視化結果
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